getlogin, getlogin_r, cuserid − ユーザー名を取得する
#include <unistd.h>
char *getlogin(void);
int getlogin_r(char *buf, size_t bufsize);
#include <stdio.h>
char *cuserid(char *string);
glibc 向けの機能検査マクロの要件 (feature_test_macros(7) 参照):
getlogin_r(): _REENTRANT || _POSIX_C_SOURCE >= 199506L
cuserid(): _XOPEN_SOURCE
getlogin() は、現在のプロセスの制御端末にログインしているユーザー名の文字列への ポインターを返す。ユーザー名が決定できない場合はヌルポインターを返す。 文字列は静的領域に割り当てられており、この後でこの関数や cuserid() が呼び出された際に上書きされることがある。
getlogin_r() は、上記の同じユーザー名を、大きさ bufsize の配列 buf に入れて返す。
cuserid() は、現在のプロセスの実効ユーザーID に対応するユーザー名の 文字列へのポインターを返す。 string がヌルポインター以外の場合、string は少なくとも L_cuserid 文字を保持できる配列でなければならない。 string が ヌルポインターの場合には、静的領域に置かれた文字列への ポインターが返される。この文字列は静的領域に割り当てられており、後で この関数や getlogin() が呼び出された際に上書きされることがある。
マクロ L_cuserid は integer の定数で、ユーザー名を保持するために 必要な配列の長さを示す。 L_cuserid は stdio.h で宣言されて いる。
これらの関数を使うと、プログラムを実行しているユーザー (cuserid()) や このセッションにログインしているユーザー (getlogin()) を明確に特定することができる (ただし set−user−ID プログラムでは、状況が違うこともある)。
たいていの目的では、ユーザーの特定には環境変数 LOGNAME を調べ るほうが便利である。LOGNAME 変数はユーザーが自由に設定できるので より柔軟な対応が可能になる。
getlogin() は成功した場合はユーザー名へのポインターを返す。 失敗した場合は NULL を返し、 errno にエラーの原因を示す値を設定する。 getlogin_r() は成功すると 0 を返し、失敗すると 0 以外を返す。
POSIX では以下のエラーが規定されている:
EMFILE |
呼び出し元プロセスがオープンしているファイル数がすでにプロセスあたりの 上限に達している。 |
||
ENFILE |
システム全体でオープンしているファイル数がすでに上限に達している。 |
||
ENXIO |
呼び出し元プロセスには制御端末がない。 |
||
ERANGE |
(getlogin_r) (終端のヌルバイト ('\0') も含めた) ユーザー名の長さが bufsize よりも長い。 |
Linux/glibc には以下のエラーもある。
ENOENT |
utmp ファイルに対応するエントリーがなかった。 |
||
ENOMEM |
passwd 構造体を割り当てるのに十分なメモリーがない。 |
||
ENOTTY |
標準入力が端末を参照していない (「バグ」の節を参照)。 |
/etc/passwd
パスワードデータベースのファイル
/var/run/utmp
(伝統的には /etc/utmp が使われている; libc の中には /var/adm/utmp を使うものもある)
マルチスレッディング (pthreads(7) 参照)
getlogin() 関数はスレッドセーフではない。
getlogin_r() 関数はスレッドセーフである。
cuserid() 関数は、例外付きのスレッドセーフである。 パラメーター NULL で呼び出した場合はスレッドセーフではない。
getlogin() と getlogin_r() は POSIX.1−2001 で規定されている。
System V にも cuserid() があるが、 これは実効ユーザー ID ではなく、実ユーザー ID を使用する。 cuserid() 関数は 1988 年版の POSIX には含まれていたが、 1990 年版では削除された。 SUSv2 に存在したが、POSIX.1−2001 で削除された。
OpenBSD には getlogin() と setlogin() があり、 セッションに対応したユーザー名がある。制御端末がない セッションの場合であっても、対応するユーザー名がある。
残念ながら、 getlogin() をだますのはそれほど難しいことではない。別のプログラムが utmp ファイルを 壊してしまうと、全く動作しないこともある。またログイン名の最初の 8 文字 しか返さないことも多い。また、プログラムの制御端末に現在ログインしているユーザーは、プログラムを実行したユーザーでない場合もある。 セキュリティの絡む用途には getlogin() を用いるべきではない。
glibc は POSIX 仕様には従っておらず、 /dev/tty ではなく 標準入力 (stdin) を使う。これはバグである。 (SunOS 5.8 や HP−UX 11.11 や FreeBSD 4.8 といった他の最近のシステムはいずれも、 標準入力 がリダイレクトされた場合でもログイン名を返す。)
cuserid() が何を行っているのか、実際のところを知っている者は誰もいない; 移植性が求められるプログラムでは cuserid() は使うべきではない。 というかどんなプログラムでも使うべきではない: 代わりに getpwuid(geteuid()) を用いるべきである (これが意図していることならば、だが)。 cuserid() は「使わない」こと。
geteuid(2), getuid(2), utmp(5)
この man ページは Linux man−pages プロジェクトのリリース 3.79 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man−pages/ に書かれている。